【素材起点のブランド戦略とは】FilBridge(フィルブリッジ)代表インタビュー2
FilBridge(フィルブリッジ)代表・佐々木瞳によるインタビュー記事・第2弾。
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佐々木瞳(ささき・ひとみ)
在学時にURBAN RESEARCHの販売現場でトップセールスとして経験を積んだのち、婦人服地を扱うテキスタイルメーカーの世界へ。企画営業として市場の動きを肌で感じ、小物製品の企画・開発では数々のヒット商品を生み出してきました。素材が形になっていく現場の技術と熱量に惹かれ、つくり手の想いとお客様の期待をつなぐ存在でありたいと感じるように。人々の「想像以上」を形にするものづくりを目指し、フィルブリッジを立ち上げました。
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コンセプトから伴走し、ブランド価値を生かす
従来の生地選びは、「製品ありき」で決まることが多いです。生地は“付属”として考えられている面が大きいと感じています。服をつくりたい、だから生地がいる。何かものを作りたい、だから布がいる。布が主役じゃないんです。
たとえば、「レインコートを作るから、撥水性がある素材、ではナイロンで・・・」という形です。けれど、生地のポテンシャルを生かす方法はもっとあるのではないか。
生地ひとつで、製品の印象や価値はものすごく変わります。生地だけじゃなく、加工でも変わる。プリント一つとってもまったく違います。本当に、いろいろなことができるんです。
では、そうした生地から製品を考えようと思っても、生地屋は生地を売ることが仕事なので、お客さんである企業から言われるものを探すことはしますが、企業のコンセプトのヒアリングはしません。
たとえば、企画の段階から「そういうコンセプトだったら、もっとこういう生地を使ったほうがいい」「ブランドの価値観にはこの生地があっている」というような、企画から一緒に考える役回りは生地屋にはない。
ゼロから生み出すときに伴走することはほぼありません。
フィルブリッジは、ブランドのコンセプト段階から関わり、「どんな価値を届けたいのか」に合わせて素材を提案します。
単なる“材料”としてではなく、“価値の源泉”として生地を捉えるのが、素材起点のものづくりです。
生地の可能性をブランド価値につなげる
これまでの日本のものづくりでは、安く大量に売るという考え方が主流になってきました。
そこを目指してきたから、メーカー側にも「安く作ることが善」という考えが根強いです。
でももう、安ければいいという時代ではありません。
これだけものが溢れている世の中ですし、人口も減少している。
「安いから買おう」という人もいるでしょうが、メーカー側として何を目指すのか。大量生産・大量消費を目的とすることでいいのでしょうか。
メーカー側は、エンドユーザーにとってその“もの”にどんな価値があり、「手にしたらどうなるのか」を描く必要があります。何か”もの”を気に入るには要因がありますし、メーカーはその要因を作っていかないと、ただただ使い捨てで終わってしまいます。
エンドユーザーが「買ってよかった」と思い、一つひとつを大事にするものの作り方には、もっといろんなことができるはず。
たとえば、ひと口にサスティナビリティといっても、海外で生産された生地の場合裏側が見えにくく、説得力のあるストーリーを作るのが難しい場合があります。
国内の産地と連携することで、GRS認証や廃棄素材活用、生産背景の可視化など、裏付けのある取り組みが可能になります。
単なる環境配慮ではなく、ブランドが伝えたい価値を維持しながら、ただ配って終わるだけではないノベルティ、グローバル展開などができるんです。
一気貫通したものづくり
フィルブリッジのメリットのひとつは、産地や工場と直接つながり、企画から生産まで一気通貫で関われる点です。
大量生産をする場合はある程度必要なことかもしれませんが、生地屋、卸、繊維商社など、間を挟むことによって消えてしまうものもあります。
たとえば弊社だと、西陣織の機屋と直接対話して、織物をあげてもらっています。
通常だと、弊社と機屋のあいだに、生地メーカーや卸などが入ることが多いです。機屋とダイレクトに繋がれるからこそ、依頼者の要望にフルコミットで対応することが可能です。

生地にプリントをしたり、オリジナルの生地を作る場合、通常は生地屋が作りますが、フィルブリッジの場合は加工工場と直接やりとりをしているので、あいだに他社が入りません。
また、現場に足を運び、工程を確認することを大切にしています。品質に妥協しないことが、最終的にはブランド価値や顧客満足につながると考えているからです。
ノベルティも「ブランドの顔」として捉え、しっかりと価値のあるものを作ることを意識しています。

日本の繊維産業には、すでに素晴らしい技術と魅力があります。必要なのは、それを正しく伝え、価値として届けること。
国内でのものづくりを増やし、産地や技術を未来につなげていきたい。そのために、フィルブリッジとしてできることを続けていきたいと思っています。
(ライター:森本未希)
