【ものづくりの架け橋になりたい】FilBridge(フィルブリッジ)代表インタビュー1
FilBridge(フィルブリッジ)代表・佐々木瞳によるインタビュー記事第1弾。
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佐々木瞳(ささき・ひとみ)
在学時にURBAN RESEARCHの販売現場でトップセールスとして経験を積んだのち、婦人服地を扱うテキスタイルメーカーの世界へ。企画営業として市場の動きを肌で感じ、小物製品の企画・開発では数々のヒット商品を生み出してきました。素材が形になっていく現場の技術と熱量に惹かれ、つくり手の想いとお客様の期待をつなぐ存在でありたいと感じるように。人々の「想像以上」を形にするものづくりを目指し、フィルブリッジを立ち上げました。
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日本国内でのものづくりに可能性を感じた理由
アパレル小売や繊維会社で、販売営業や自社商品の製作などを約14年経験してきました。その中でずっと考えていたのが、「素材を起点としたものづくりがもっとできるのではないか」ということです。
日本の繊維産業は右肩下がりだといわれて久しく、アパレル市場も厳しい状況が続いています。
特にコロナ禍以降は、繊維工場の閉鎖や廃業が増え、日本国内で生産される生地は年々減少しています。
「生機(きばた)」と呼ばれる、糸を成形して織りあがったままの未加工状態の生地は、今では海外生産が主流です。染めたり加工の過程で国内に持ってくる企業もあれば、加工までを海外でおこなうところもあります。
海外で作る理由は、日本だと納期がかかるから。アパレルのサイクルは年々短くなっていますが、国内は高齢化して人員が減少し、キャパシティが減っています。生地を作れるところがそもそも減っているんです。そのため、全工程に対して納期がかかる。また、人件費の面も影響しています。
ただ、海外生産には大量ロットが必要だったり、品質のばらつきや為替の影響など、別の課題もあるんです。けれどそうした課題はそのままに、生機や最終の加工までも、生地を海外で作る、ということが通例化してきています。
製品に関しては、国内縫製の比率はわずか1.5%にまで減少しています。
そんな状況を見ているなかで、もっと日本でもできることがいろいろあるのにな、と思うことが多くありました。

”分断”を超えて、ものの価値を”エンドユーザー”にまで届ける
繊維業界には川上(繊維素材に関わる産業)・川中(繊維商社、アパレルメーカー)・川下(小売)がありますが、それぞれが分断されていると感じています。
たとえば川上の繊維産業は、日本は世界的にも評価が高く、独自の技術をたくさん持っています。
ただ、その価値が川中や川下、そして最終的な消費者にまで届いていないんです。
川中では、国内でつくった素晴らしい生地の存在を知っていても、それをブランド価値として伝えたり、わかりやすく翻訳できる人がいない。
企業側も、自分たちの製品にどう落とし込めるかがわからないので、結果として「安いから選ぶ」という判断になってしまいがちです。そうしてただの機能として布が選ばれる。
本来であれば、日本の産地や繊維技術は、ブランドのアイデンティティや付加価値につながるものです。日本で作るメリットも感じてもらえる。
それを活かしきれていないのは非常にもったいないと感じています。
繊維業界自体、サプライチェーンがとても煩雑です。
最終的な消費者にどうやって価値を伝えていくか、というところがものすごく大事なのだけれど、それぞれの段階で分断が起こっている。
生地の価値も、素晴らしい技術も、伝えきれていないと感じています。
生地の知識だけでなく、生産や製品企画なども含めた自分の経験を、何か活かせるのではないか。
川中から川下で断絶してしまっている価値を繋げたい、架け橋となりたいという思いから、FilBridge(フィルブリッジ)を立ち上げました。
日本の産地の技術と魅力を繋げるために
日本のものづくりは、とにかく丁寧で精度が高いです。
日々、織物の産地や縫製工場や様々な加工場と関わっていますが、こんなに丁寧に向き合ってくれるのは日本の作り手ならではだと実感しています。
海外では、指定した色や仕様と違うものが上がってくることも珍しくありません。
日本の工場は微妙なニュアンスも拾って再現してくれますし、コミュニケーションとしても近いのでわかりあいやすい。関係性が築けていたら、柔軟な対応も可能。場合によっては、国内のほうが納期が早くなるケースもあります。小ロットであればコスト差もそれほど大きくありません。
こちらの感覚を遵守してくれて、かつ「こうしたらいいんじゃないか」と提案もしてくれるようなパートナーが身近にいる。国内で作るメリットは、実は非常に高いんです。
私は今まで日本製の生地でものづくりをしてきたので、産地や工場がなくなってほしくない。
日本でものを作らないと、10年後はさらに作れるところがなくなってしまいます。
もっと上手く発信して、今すでに十分にある技術と魅力を、価値に変えていけたら。
そうすることで、生産者を減らさないようにすることができるんじゃないかと思っています。日本の繊維の技術や魅力を伝え、産地の未来を繋げていきたいです。
〈その2に続く〉
(ライター:森本未希)
